絵本 読み語り記録

絵本の読み語り記録:小学校3年生(2025.12月)

早いもので、あっという間に12月。

今回は、いまのわが子と同じ小学3年生。

今年最後の朝読みということで、クリスマスやお正月が登場する絵本を中心に、冬を意識したラインナップから、子どもの意見も聞きつつ選んでみました。

12月上旬

▼1冊目
『クリスマスのきせき』

(高畠 那生/岩崎書店)
目安:約2分50秒

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クリスマス関連の絵本をいろいろ探しているなか、あまりしっとり長いものよりも、わくわく楽しい感じの雰囲気のものはないかしら……?という私の気持ちにぴったりだったのが、こちらの高畠 那生(たかばたけ なお)さんの一冊。

言わずとしれた『バナナじけん』や『でっこりぼっこり』、『うしとざん』など、子どもたちを魅了してやまないおもしろワールドを描いてくれる高畠さんの手にかかれば、クリスマスはこうなると。

読み始める前に、「みんな、奇跡って知ってる?」「信じられないような、ミラクルが起きることだよ」「さてさて、どんな『奇跡』が起きるんでしょう〜」と前置きして、スタート。

もう回りくどいことなしに、絵本をひらいたその瞬間から、画面のなかでどんどん絵が動いてお話が展開してゆくので、子どもたちの目も釘付け。

「あ、わかった! どんどん小さくなってくんじゃない?」などと、予想をつぶやいてくれた子も。

はたして、どんな奇跡が起こるのか……、絵のパワーが大きいので、ぜひ実物をひらいてみてください。

クリスマスシーズンの読み聞かせの冒頭、導入にぴったりな、短く読めてくすっと場が盛り上がる一冊です。


▼2冊目
『かさじぞう』
(瀬田貞二 再話、赤羽末吉 画/福音館書店)
目安:約6分10秒

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「2冊目は、みんなも知ってると思う昔話です」と言って表紙をみせ、「かさじぞう。知ってるかな?」と聞くと、半分くらいの子が手を挙げてくれた。

「その『かさじぞう』、実は大晦日、12月31日のお話だって知ってた? ということで今回は、大晦日からお正月にかけてのお話、『かさじぞう』を読んでみます」と言ってスタート。

そう、私ももちろん『かさじぞう』は知っていたけれど、今回選本のためにリサーチするなかで初めて、これが大晦日の話だということをちゃんと認識したのでした。

たくさんの『かさじぞう』の中で迷ったけれど、昔話の雰囲気にぴったりの赤羽末吉さんの絵のものを。

瀬田貞二さんの書く文章も、昔話ならではの心地よいリズム感と語り口で、読んでいるほうもとても楽しかった。

ゆきが もかもか ふってきたので

あやぁ、むごいことだなあ

すっぽりめしを さくさくたべて ねてしまったと。

などなど。いわゆる現代のプレーンな文章ではなかなか、この雰囲気は出ない。

そんな口調は子どもたちの心にも入りやすいのだろうか。わいわい聞いていた1冊目とはがらっと変わって、食い入るみたいにじーっと、お話の世界に耳を傾けてくれていた。

6分ほどのお話とはにわかには信じがたいほど、そこには物語があって。世界観にどっぷり浸かるような体験ができたのじゃないかなあ。

昔話ってすごい。やっぱり受け継がれるものには力があるらしい。


▼3冊目
『もりのおふろ』
(西村敏雄/福音館書店)
目安:約2分50秒

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1、2冊目が雪つづきだったので、「ちょっと寒い絵本が続いたから、最後はみんなであったまって、リラックスして終わろうと思いまーす」と言って、『もりのおふろ』を。

この絵本はわが子が幼いころにいただいて、そのころずいぶん何度も読んできたもの。

小学3年生にはちょっと幼すぎるかなあ?と思わなくもなかったけれど、時間的にちょうどよかったのと、冷えたあとにあったまる「おふろ」という流れはありかなと思ってセレクト。前日に小3のわが子に改めて聞いてもらったときも、楽しそうだったし。

「ごしごし しゅっしゅっ」というフレーズが繰り返し出てくるところ、2年生くらいまでならまず一緒に言ってくれるけど、3年生でも言ってくれる子いるかな……?

と、実はドキドキしていたけれど、男の子たちがむしろ楽しそうに言ってくれて、とてもうれしかった。

お話が始まる前から「ごしごし しゅっしゅっ」ってつぶやいてくれていた子は、きっと家で読んでいたんだろうな。

自分が小さかったころに読んだものを、ちょっとお兄さんお姉さんになってから読むのも、きっと楽しいはず。


▼一部紹介
『ことばのこばこ』
(西村敏雄/福音館書店)

ことばのこばこ

たまたま教室に早めに入れてもらったこともあり、少し時間に余裕があったので、「さて、絵本はこれで終わりなんだけど、最後にひとつだけ言葉あそびをして終わろうかな!」と紹介。

和田誠展で買っていた『ことばのこばこ』から、かさじぞうにちなんで「かさ」が登場する、こんな言葉を。

かかしにかさかしたら かかしかささかさにさした

最初は意味で区切りながらジェスチャーとともにゆっくり読んで、そのあと、もう一度読んでから、みんなに「さんはい」で一緒に言ってもらった。

口に出してみると結構長いから後半はバラけたけど、わりと言えていたし、口に出して楽しい日本語っていいよね。

ほかの言葉もいくつか紹介して、「気になった人は図書館にもあるから見てみてねー!」と結びました。


早めに教室に入れると、こんなボリュームでの活動もできて楽しい。かと思えば遅れて入室となるときもあるので、そのあたりの調整はなかなか難しいのだけれど。

今回、かさじぞうは大晦日の話と言ったときに担任の先生が「へぇ〜」と言ってくれたり、言葉遊びも一緒に言ってくれたり、参加してくれていたことがとっても嬉しかったしありがたかった。

先生も興味を持ってくれると、子どもたちもますます興味を持ってくれるので、本当にありがたいのです。

入室のとき、わが子の友達何人かから「あ、◯◯ちゃんのお母さん!」と声をかけてもらい、退室のときにはハイタッチしてもらったりして、なんだか楽しかった。

ほんの数年の、期間限定の特別なよろこびだなあ、と噛みしめつつ。

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