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大人向けに書かれた性教育の教科書。これから何度も読み返すと確信した『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(フクチマミ、村瀬幸浩/KADOKAWA)【書籍紹介】

前提として最近のわたしは、読む本にあまり付箋というものを貼らないタイプです。

でもこの『おうち性教育はじめます』に関しては、読み終えたときの状態が必然的にこうだった。

付箋、貼りまくりの図です。

単純に、「今後絶対に読み返す!」「これ超大事!」と確信する内容が多すぎて。こりゃ一気には覚えられんわと、特に大切だと思うところに付箋を貼っていったら、こんなことになっていたという。

そのくらい、子どもに伝えていきたい性にまつわる内容がつまっている1冊です。

そもそもわたしが「性教育、やらなきゃだよね……」と気になり始めたのは、ある別の人の記事で「子どものときに父親から自分のお尻をからかわれたのが嫌だった」という内容を読んだのがきっかけでした。

当時はまだ、わが家の娘も2歳かそこらで、お風呂のときに「おしりぷりこちゃん!」とか言っておふざけしていたりして。娘もそれに対してキャッキャッ!って笑ってたりしたんですね(いま考えればやっちゃいけないことだったんだけど、当時は知識がなくて)。

でもその方のブログを読んで、「そうか、このままじゃよくないのかも……」となんとなく思いはじめて。

そんな前提があって、しばらくしてからこの『おうち性教育はじめます』の告知をネット上で目にしたとき。

「親でも(おしりなどの)プライベートゾーンは勝手に触らない!」

「プライベートゾーンを勝手に見たり触ったりすることを『好き』の表現だと教えてしまうことになりかねない」

という表記を見て、

ああ、やっぱり、性教育についてわたしも夫も無知すぎる。これは今すぐ読まなくちゃ!

と危機感を持って購入したのでした。

それで実際、読んでみて、何がいいってね。

まずこの本、「大人向け」に書かれているんです。

これから初めて性に触れていく子どもたちじゃなくて、むしろ日本でこれまでいい加減な性に触れてきてしまった私たち大人の状態を前提に、やさしく学び直しをさせてくれる。そんな本。

しかも文章じゃなくて漫画形式だから、とってもとっつきやすい。

かつ、一方的に知識を語られるだけじゃなくて、私たち“すでに大人世代”が抱えちゃっている偏見とか、恥ずかしさみたいなものを、コミックに登場する人たちが「でもなぁ〜」「これでよくない?」という形で代弁してくれるから、読んでいてとっても入りやすい。

まずは性教育という、私たちにとっては「大事っぽいけど、わかんないしどうしよー」って分野において、こういう形式の本が出たことがとてもありがたいなぁと。

そして、肝心の内容はというと。

これはもう、さきほどの付箋画像でもわかるとおり、実践的な内容が盛りだくさんだった。

性教育という狭いトピックだけじゃなくて、そこに関連する大事なトピック、たとえば

・何でも相談できる親子関係を作るには?

とか、性の話をする前提となるような育児トピックまで含めて話を進めてくれるのが、とても参考になった。

そして「なんでお母さんから生まれたのにお父さんにも似ているの?」「なんでママは立っておしっこできないの?」などなど、子どもから実際に聞かれそうなトピックを取り上げて、そういうときにどう答えたらよいのか、と教えてくれる。

単純に知識を羅列されるよりイメージがわいて、とても助かる。

さらにいいなと思ったのは、「夫婦で読んで、互いに学びがある構成になっている」ところ。

女の子、男の子それぞれのからだとこころのことを、例えば「射精や生理について、異性の親はどう接したらいいのか?」というところまで含めて、漫画でわかりやすく解説してくれる。

おとなになってから、夫婦でパートナーに改めて聞くのもちょっとハードルが高いところ、この本を夫婦で読めばある程度前提の知識もできるし、それ以上のことをもし聞きたくなっても「あの本には〜〜って書いてあったけどさ」と客観的な視点も加えて話せる。それってとてもありがたいなと思う。

わが家も実際、先に「性教育大事だよな……」と気になって本を買ったのは母親であるわたしだけれど、夫にも読んでもらった。夫もちゃんと読んでくれて、「これからも何度も読み返すことになりそうだね」と言っていた。

本という媒体があることで、共有しやすいの、すばらしいと思う。

この本を読んでからすぐ、ちょうど娘が4歳になったというタイミングもあり、娘とおふろに入ったときにわが家でも性の話をはじめてみた。

○○ちゃんも4歳になってお姉ちゃんになったから、今からだいじなお話をするね

と前置きをして、プライベートゾーンの話や、性器を自分でやさしく洗うやりかたなどを教えました。

「まだ難しいかな?」と思っていたけれど、意外にも母の真剣なトーンが伝わったのか、めずらしく黙ってじっと最後まで聞いていたのが、印象的だったな。

それから早、数か月。

まだまだ家の中だと、トイレに行ったあとにおしり丸出しでうろうろしていることもある。だから意識が備わったとは言えないけれど、そのたびに繰り返し

ほら、大事なところだからパンツで早く守ってあげようね
プライベートゾーンは他のひとに見せないんだったよね

などと、地道に声がけをしている。

ちなみにお風呂で自分のからだを洗うのは、とても上手になった。自分のからだは他人に勝手に触れられるものじゃなく、自分で大事に扱うもの、という感覚は少しずつでも、身についてきているかしら。

この本も、以前紹介したてぃ先生の『子育てで困ったらこれやってみ!』同様、すべての大人に読んでほしい内容だと思っている。性教育は特に、周りのお友だちや大人たちの意識を一気に変えないと、なかなか難しいところがあるんじゃないかと思っていて。

てぃ先生の『子育てで困ったらこれやってみ!』も、この『おうち性教育はじめます』も、行政レベルで出生届時に配布してほしいなぁ、と思っている、いち親のつぶやきでした。

おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方 [ フクチ マミ ]

ちなみに、アマゾンのページから、実際の漫画ページを「ためし読み」できるので、ためし読みだけでもいいからぜひ。一家に一冊、必携だと思います。

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