たんたんと絵本の記録を 絵本

絵本の読み語り記録:小学校4年生(2024.9月)

小学校、朝の15分読み語り記録。

今回は小学4年生。わが子はまだ低学年なこともあり、中・高学年向けは調べてもいつも迷う。まあでも焦らず、ちょっとずつ場数をふみつつ、感覚を養ってゆけたらいいな。

9月上旬

▼1冊目
『じゃない!』

(チョーヒカル/フレーベル館)
目安:2分

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きゅうりに見えるものは、本当にきゅうりなのか?

そんな「当たり前を疑う」感覚を持ってもらえたらいいなあと思って選んだ1冊。

本作に登場するのは、作者であるチョーヒカルさんというアーティストが、野菜や果物、卵、人の手などいろいろなものにペイントした作品を撮影した写真たち。

例えば、ぱっと見ではどう見てもきゅうりの写真が見開き画面いっぱいに登場し、「これは きゅうり」と本文がある。

そしてページをめくると、「じゃなくて、◯◯◯!」という本文とともに、きゅうりらしく見えたそのペイントの中身が、本当は何だったのか種明かしされる写真に変わるのだ。

その作品たちは、大人でも「えっ」と二度見したくなるようなクオリティ。わかっていても、あまりにリアルなので、何度でも観察したくなってしまう。

4年生ともなるとみんなあまり反応してくれないかなと思ったが、なかなかどうして、ページをめくるごとに「えっ!」とか「じゃない、のかよ!」などなど、何かしら反応してくれる子が多くて嬉しかった。

有名な作品なので、「知ってるよ!」という子もいたけれど、それでも無視することなく「これは、◯◯◯でしょ!」と参加してくれていた。無関心よりよほどありがたい。

最後、アイス(に見える何か)のページで、「じゃあ、これは……?」と本文を読んだら、ここまでさんざん「じゃない!」を見てきているにもかかわらず、たくさんの子が元気に「アイスー!」と声をあわせて言ってくれて、なんて素直な心の持ち主たちなんだろう!と心が洗われる思いだった。

もちろん、答えはアイス……「じゃない」のだけど、何なのかは、本書を読んでのお楽しみ。

最後のページには小さいながらもメイキングシーンが紹介されているので、「CGとかじゃなくて、こうやって一つひとつ、筆で描いている作品なんだって」と補足。4年生なので作者のあとがきコメントも紹介した。

時間としては短い絵本だけれど、きっと何かが心に残ってくれることを願って。


▼2冊目
『どうする どうする あなのなか』
(きむらゆういち 文、高畠 純 絵/福音館書店)
目安:8分40秒

どうするどうするあなのなか

以前、『ゆらゆらばしのうえで』を読んでおもしろいなあと思ったのがきっかけで、同じくきむらゆういちさんが文章を手がける作品を調べて出会った1冊。

いつか読み語りに登場させたいなと思って結構前に購入していたのだが、ようやく実行できた。

全ページが縦に開く形式なので、まずはそれ自体が子どもたちにも新鮮らしく、読み始めてすぐ「縦なんだ!」と反応してくれる子も。

タイトル通り「穴のなか」にいる話なのだけど、穴に落ちるところも、それが深くてなかなか出られそうにないことも、高畠さんが縦型見開きを十二分に活用されて描かれていて。冒頭でストーリーに入っていきやすい。

あらすじは、3匹ののねずみと、それを追っていた2匹のやまねこが一緒に深い深い穴に落ちてしまい、どうやって出るか、ああでもないこうでもないと考える話。

5匹みんなで肩車をすればいいということで、その順序を考えるのだけれど……。のねずみとしてはどの順で出たらやまねこに誰も食べられないか、やまねことしてはどうしたら自分たちも助かりつつのねずみも逃さないかを考えてなかなか決まらない。

途中で雨が降り始めるシーンがあるのだけれど、すぐに「あ、水があふれて……」と予想してつぶやいた子がいたのは、さすが4年生。

結果、その通りに話のオチにつながっていくわけだけど、最後までみんなじっと集中して聞いてくれていたのが、嬉しかった。

ずっと縦読みでめくっていくのは、腕がプルプルしてきてなかなか大変なので、練習は大切!


▼3冊目
『やっぱり じゃない!』
(チョーヒカル/フレーベル館)
目安:2分50秒

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順調に読み終えたので、「実はさっきの『じゃない』の第2弾があります。おまけの1冊で読みますね〜!」と読んだ。

1冊目と同じような構成ではあるので、もしかすると飽きちゃうかもしれないとも思ったけれど、意外とみんな新鮮な反応を返してくれた。静まり返らずに、何かしらつぶやきながら聞いてくれる人が多かったのは、嬉しかったな。

一番最後の「絵筆」ページの種明かしは、きっともう予想している人も多いし、近くの席の子は正解の答えを言っている子もいたけれど、教室の後ろ側からは「え〜!!」と大きな反応があり、紹介できてよかったなあと思った。

確かにあの「絵筆」のページは、遠くのほうから見たほうが驚きが大きいかも。

そういう意味でも、大人数の読み語り向きかもしれない。


『じゃない!』は、自分が初見で見たとき衝撃だったので紹介したいと思ったけれど、知っている子も普段より多い気がした。4年生にもなると、1〜3年生のときにどこかで読まれていたかもしれないなあと、後から気づいた。

あとは、『じゃない!』がビジュアル重視で時間も短いので、もうひとつのお話は、10分くらいの、もう少しじっくり聞けるもののほうがよかったかもしれないなあと。

まあこんなふうに、やってみれば毎度何かしら思うところはあるわけだけど、それらもまた糧にして、ゆるやかに進んでゆけたらいい。

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