たんたんと絵本の記録を 絵本

絵本の読み語り記録:小学校5年生(2024.9月)

小学校にて、朝15分の読み語り記録。

今回は、2度目の5年生。個人的に高学年はまだ本のセレクトに手探り感があるけれど、高学年でこそ読んでみたいなあと思う本もいろいろとあるので、焦らずいろいろ試行錯誤していこうと思う。

今回は「絵を楽しむ1冊と、お話を楽しむ1冊を持ってきました。まずは、絵を楽しむ1冊から」と言ってスタート。

9月中旬

▼1冊目
『あさになったので まどをあけますよ』

(荒井良二/偕成社)
目安:3分30秒

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もともと大好きな絵本としてこのブログでもかなり昔に紹介している、荒井良二さんの名作。ただ、絵をじっくり楽しみたい1冊なので、低学年かつ大人数向けはちょっと難しいかな……?と思い、小学校での読み語りでは読めていなかった。

せっかく落ち着いて聞いてくれる高学年なので、トライしてみることに。

子どもたちは直前まで、計算のタイムトライアルみたいなことをしていたので、「ちょっと気分を変えてリラックスして、絵を見て、美術館にいるような気持ちで楽しんでみてください〜」と声をかけてスタート。

「あさになったので まどをあけますよ」というフレーズが繰り返されながら、海や、まちや、山や、いろいろな場所の「あさ」が、荒井良二さんの絵筆で鮮やかに描かれてゆく。見ているだけで気持ちが変わってくる。

間をとりながら、ゆっくりめくることを意識した。

わいわいと盛り上がる絵本ではないけれど、みんなじいっと見入りながら聞いてくれていたので、一人ひとりの心のなかに、心地よい気持ちやホッとする気持ちが、じんわり広がってくれていたらいいなあ。


▼2冊目
『らくごえほん てんしき』
(川端誠/角川書店)
目安:10分

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「2冊めは雰囲気をガラッと変えて、お話メインの1冊。みんな、落語って知ってますか?」と聞くと、多くの子から「知ってるー」との反応。

「じゃあ、本物の落語を見に行ったことのある人は?」と聞くと、1人。さらに「動画で見たり、音を聞いたことがある人は?」と聞いてみると、それでも3、4人ほど。想像していたより少なかったけれど、むしろ知らない子が多いほうが嬉しかったので問題なし。

「落語は知っての通り日本の伝統芸能で、本当は噺家さんが身振り手振りだけでおもしろく話をするんだけど、今日は絵本の力を借りて、落語を聞いたことがある人もない人も、その世界をちょっと味わってみてもらえたらと思います」と軽く説明。

「ちなみに、落語は噺に“落ち”があるから落語というそうです。昔は落とし噺(おとしばなし)と呼ばれていたんだって」と豆知識もはさみつつ、「今回の落語絵本は、噺家さんのものとは落ちが違うから、知っている子も“どんな落ちかな?”と考えてみてね」とも伝えました。

この『てんしき』は、わが子(小2)が去年から好きで何度も読んでいるので、だいぶ読み慣れていることもあり、ちょっとでも落語のあのちゃきちゃきしたおもしろさが伝わったらなあ……と、素人ながらおしょうさんや医者の先生など、雰囲気も考えながら読み分け。早口にはなりすぎないよう、でもあの落語独特のリズム感も楽しめるよう意識した。

個人的には(わかる人にはわかる)「あまり耳からはでんなあ」などのくだりでクスッとしてくれる子を期待していたけれど、かすかに1、2人くらいが反応してくれただけだったので、とっても真面目なクラスだった。同じ5年生でも、この前入ったクラスだったらもうちょっと笑いが起きていたと思うのだけれど。

かといって退屈そうにするわけでもなく、比較的長い話なのに、みんな集中して聞き入ってくれていたのが印象的だった。

落ちの部分も、その場でドッ!という笑いにはならなかった。でも、みんなの前で笑う気恥ずかしさもあったのかもしれない。終えてから、「落語は、動画などでもたくさんアップされているので、興味を持った人がいたらぜひ見てみてください」と結んだので、1人でも、これを機に落語に興味を持ってくれたらうれしい。


落語絵本は、高学年に入るチャンスがあれば一度は読んでみたいと思っていたので、ついに実現できて嬉しかった。

わかりやすく笑いは起きなかったけど、あとからじわじわ意味が分かっておもしろくなる子もいるかもしれないし、別に今回は気にもとめなくても、少し大きくなって日本文化を見直すときに「そういや落語の絵本を小学生のときに聞いたなあ」なんて思ったりするかもしれない。人のなかで、何がどんなふうに影響していくかは未知数だ。

その場その場での反応に一喜一憂することなく、じんわり、何かにつながってゆくことを楽しみに、またいろんな絵本を探して読んでいきたいなと思う。

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