小学校での読み語りボランティアは4回目。そろそろ、低学年向けは新米ですとも言いきれなくなってきたころ(まだ中・高学年は未経験なのでそこは相変わらずどきどきだけれど)。自分の備忘録も兼ねて、たんたんと記録をしてゆく試み。
11月下旬
この日は「きのうは運動会だったね、みんな、がんばったね!」という軽い雑談からはじめて、さくっと本題へ。
「さて今日は、みじかい“ことばあそび”の本を1冊と、ちょっと長めの物語を1冊持ってきたよ」と紹介し、さっそく読みに入りました。
▼1冊目
『こんにちワニ』
(中川ひろたか 文、村上康成 絵/PHP研究所)
目安:2分弱
「こんにちワニ」「いただきマスク」などのことばあそびが、見開き1ページをつかってひとつのフレーズ、というゆるやかなテンポで、村上康成さんの愛嬌たっぷりの絵とともにどんどん出てくる1冊。
最初は静かに様子を伺っていた子どもたち。なんなら「え、ふざけてるじゃん……」とこそっとつぶやいた声も聞こえてきた(笑)。
でも徐々に、堂々とふざけていいんだということが伝わったのか、笑い声が聞こえてきて。「ただいまんとひひ」では「使う、使う!」と言ってくれる子も。読み終えて本を閉じたとき、「おもしろかった」と言ってくれた子がいて、嬉しかったなあ。
語感・ことばあそび大好きおばちゃんとしては、もっともっと言葉のおもしろさに触れてほしいなあ、と思う。なんだか最近はお行儀のよい子が多い気が……と決めつけるのもよくないけれど、もっとふざけてもいいじゃんね学校って、と思ってしまう私がいる。人を貶めるおふざけじゃなくて、みんなで笑いあえるおふざけならさ。
ちなみに偶然だけど、前回の『さつまのおいも』と同じ、中川ひろたかさん&村上康成さんの名コンビによる作品だった。このおふたりによることばあそびの絵本はシリーズ展開されているので、他の作品も今度読んでみたい。
▼2冊目
『ゆらゆらばしのうえで』
(きむらゆういち 文、はたこうしろう 絵/福音館書店)
目安:10分
友人の紹介で知り、気になって読んだら、ストーリーに盛り上がりもあるし、きつねとうさぎの掛け合いがテンポよくて、これは読み語りに向いている、と思って選んだ1冊。
うさぎを食べようと追いかけたきつねがまるたばしに乗ると、橋が外れてシーソーみたいになって両者、両端から動けなくなり……そこからどうなっていくか、という話。
2年生ということで、そもそもお互いに動けない状態、という状況設定がちゃんと伝わるか少しだけ不安はあったけれど、シーソーという言葉が本文で出てくる前に、子どもが「シーソーだ!」と言ってくれて、ほっとした。
うさぎを食べようとしていたはずのきつねが、うさぎに「いのちをだいじにしろ!」と言う展開になったりと、お話として、大人が読んでもおもしろいなと思う。
切り絵の手法を用いたようなはたこうしろうさんの絵も、ダイナミックな構図に豊かな色彩で、見ていてとても気持ちがいい。絵と文がお互いに引き立てあっていて、これぞ絵本だ……!という感じ。
読み語りの前は、結構ざわざわしていたクラスだったのだけれど、うさぎときつねの会話形式で進む臨場感あふれるお話に耳を傾け、最後までしっかり聞いてくれて嬉しかった。
*
読み語りの後、その日の担当メンバーで少し集まって読んだ絵本をシェアする時間があるのだけれど、毎回毎回、全然自分は知らなかった絵本に出会っておどろく。かと思えば自分が持っていった絵本が他の方には新鮮だったりもして。おもしろい。
皆それぞれに絵本が好きで活動しているけれど、それでも限りなく広がる絵本の沼……じゃなかった絵本の世界。だからこそ、次はどんな絵本を読もうかな、どんな絵本に出会えるかなと、自分自身も楽しんで続けられるのだろうな、きっと。