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絵本・童話作家を紹介する本が好き【その2】今江祥智、長新太、対談集など

2023年3月2日

さて今回も、ここ数週間で読んだ、絵本作家・童話作家関連の3冊を。

というかですね、3冊目にご紹介する対談集が、個人的にはよすぎまして。これについては別途ひとつの記事でもご紹介したいと思っています(というか他の2冊でも対談のページは特に楽しかったから、単純にわたしは対談を読むのが好きなのかもしれない)。

今回は、今江祥智さん、長新太さん、それから絵本・作家界隈の大御所どうしの対談集を読みました。おなかいっぱい大満足。

※この読書記録を書き始めたきっかけや思いは、【その1】のこちらにて。

 

『子どもの本の海で泳いで』(今江祥智/BL出版)

わたしはまだ、今江祥智さんを語る言葉をほとんど持たない。

恥ずかしながらその著作をきちんと知らずにおり、長新太さんや谷川俊太郎さん、和田誠さんなどが語る言葉のなかでたびたびキーパーソンとして登場する今江祥智さんという方に 、「いったいどんな方なんだろう」と興味が募り、この本を手にとったのだった。

今江さんは学生時代にあの松居直さん(福音館書店創業に参画、『こどものとも』創刊など)と出会い、中学校の英語教師や福音館書店で編集者を経て、児童文学作家や翻訳者の道へ。

本書のなかには松井さんと今江さんの対談も収録されていて、個人的にはこれが一番おもしろかった。

英語の教師時代に東京へ遊びに行って、本を買いすぎて帰りの電車賃がなくなり、松井さんにお金を借りにいったという今江さん。その「担保」として童話を書いたのがすべての始まりだったというから、人生はわからない。

同じく対談で、川島誠さん、江國香織さん、石井睦美さんという作家3人が今江さんについて語る対談も読み応えがあった。単にものを書くだけでもすごいのに、今江さんはそれに加えて、人をつなげたり、巻き込んだり、育ててゆくようなエネルギーにあふれた方だったのだなあ。と、その姿の一片を垣間見た気がした。

p58-60に、今江さんのいろいろな作品から食べ物にまつわる描写を抜粋して紹介しているページがあるのだけれど、これを読むだけで、他の今江さんの文章が読みたくなる。これから少しずつ、作品たちにも出会ってゆきたい。

ちなみに今江さんは、有名なあの『すてきな三にんぐみ』の訳者さんでもある。

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『長新太 こどものくにのあなきすと(KAWADE 道の手帖)』(河出書房新社)

「KAWADE 道の手帖」という、河出書房新社が人にフォーカスして発行しているムックシリーズの、長新太さんバージョン。

谷川俊太郎さんと内田也哉子さんの対談から始まり、安西水丸さん、穂村弘さん、灰谷健次郎さんなどなどそうそうたるメンバーによる、長さんについてのエッセイやオマージュが収録されている。もちろん、長さんご自身の漫画やエッセイも。

その多くは過去にいろいろな場所で発表されてきたものなのだけれど、それが一箇所でまとめて読めるのは、ファンとしては贅沢かつ便利でありがたい。

ちなみに本書はどちらかというと読み物メインの構成なので、長さんのことを知りたい方のなかでも、活字好きの方におすすめ。逆にビジュアル寄りで入りたい人には、カラー&絵の多い『別冊太陽 ユーモアとナンセンスの王様』がおすすめ。

それにしてもこうやって、いろいろな方が長さんについて、その人の視点からいろいろと語っている原稿を読むのは幸せだ。先日書いた『えをかく』の紹介記事でも、本書から一部引用させていただいている。

もう肉体的には長さんはこの世にいないけれど、たしかにいろいろな作り手のなかに息づいているのだな。誰かが長さんに対して思いを込めて書いたものを読むたび、そんなことを思う。

そして長さんと直接何の接点もないわたしは、その一人ひとりによって語られる「長さん像」をパズルみたいに寄せ集めて、ゆらゆらと捉えどころのないような長さんの手触りを、少しでも、手触りのあるものにしてゆけるような気分になるのだ(実際は絶対に「わかる」境地になんて永遠に達しないと知ってるけれど、その手前でピースを増やしていく過程は、よろこびなのでありますよ)。

 

『対談集 絵本のこと話そうか』(長新太、五味太郎ほか/アノニマ・スタジオ)

今回ご紹介するなかで、個人的に一番心に残った一冊。まず、表紙に連なるお名前を眺めるだけでも、本を開かずにはいられない。

この本は、1987年から1990年にかけて行われたリレー対談が、1990年に一度刊行され(『素直にわがまま』/偕成社)、それが2018年に復刊されたものなのだけれど。

これが、びっくりするほど色褪せない。

もちろん、時が流れてきたことは感じるのです。写真を見て、ああ、この作家さんお若いなあとか、今は亡くなっている方がいきいきと現役で作品づくりなどについて語っておられる姿を見て、胸にくるものがあったりだとか。

ただ、そこで話されている内容は、まったく古びない。今読んでも本当にいきいきとしている。さらにいえば、タイトルは『絵本のこと話そうか』ではあるけれど、語られているのは絵本のことだけには全然とどまらないのでありますよ。

ものづくりから生き方、働き方、何を大切にして生きるのか……。

ものをつくる人は全員読んだほうがいいし、つくらない人もたぶん、読んだほうがいい。ひと言で魅了をまとめられないので、この本については別記事でも紹介したい所存。

※追記(書きました):▶書く、描く、創る人、みんな読むべし。『対談集 絵本のこと話そうか』長新太、五味太郎ほか/アノニマ・スタジオ

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以上、今回の記録は終わり。

今回もまた、読みながら、そのなかで紹介されている本をさらに読みたくなって、図書館で予約したり、買いたいリストに入れたり。本の海、広すぎる。

今江さんの本のタイトルは『子どもの本の海で泳いで』だったけれど、わたしは読者としても溺れながらあっぷあっぷしているなあ、と思う。

もうちょっと、仕事や暮らしも含めていろんなバランスを探りながら、子どもの本の海、気持ちよく泳げるようになりたいなあ。

 

絵本・童話作家を紹介する本が好き【その1】長新太、内田麟太郎、斎藤洋、角野栄子

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