小学校にて、朝15分の読み語り記録。
去年は1年〜4年生しか経験がなかったので、ついに初めての高学年。きっと反応ないんだろうなあ……と心を強くのぞんだけれど、想像よりよっぽど、みんなしっかり聞いてくれるし、ここぞというときには反応も返してくれるしで、むしろお話を聴く力がついているぶん、読みやすさもあるなと感じた。
今回はコンセプトがおもしろいものをピックアップしたけれど、今後長期的には、じっくりと味わう物語や、言葉のおもしろさを伝えたり、いろんな本を読んでみたい。それができるのは「わいわい楽しむ」だけに終わらない、高学年の魅力なのだろうとも思う。
6月下旬
▼1冊目
『がっこうに まにあわない』
(ザ・キャビンカンパニー/あかね書房)
目安:5分
5月に2年生でも読んだ1冊だけれど、日食の話が出てくるので高学年でも読んでみたいと思っていたこと、また2冊めに読みたいと考えていたものが8分ほどで、時間的に組み合わせのよいものを考えていて、こちらをチョイス。
2年生では大反響だった「ゴンゴンゴン…」のところは、2年生ほど反応が返ってくるわけではなかったけれど、1ページ、2ページ、と電車が続き、さすがに3ページ目になると「間に合わない…」とつぶやいてくれている子も。
全体を通して、派手な反応はなかったけれど、やはり絵の迫力があるからか、最初から最後までしっかりと絵を見て、集中して聞いてくれている感触があって嬉しかった。
そして、さすが5年生。「おかしなメガネをかけたともだちがそらをみている」と読んだだけで、ページをめくる前から「日食だ!」と予想して声があがっていた。
お話最後の2ページとそこでの言葉は、高学年の子にこそ響くだろうなあと感じていたので、個人的には5年生の前で読むことができて嬉しかったし、最後までしっかり聞いてくれて、ありがたかった。
きっと、数百年後とか、時間の不思議とか、何らかの余韻を心に残してくれた子も、数人くらいはいたんじゃないかなあ。
▼2冊目
『地球をほる』
(川端誠/BL出版)
目安:(英語と日本語を両方読んで)8分
「ちょっと早いけれど、6月が終わると7月なので、そろそろ夏休みの計画を立て始めている人もいるかなと思って、今日はある冒険の物語を選んでみました」と前置きして、『地球をほる』とタイトルを読んだら、思わず子どもたちから「えーっ」と反応が。
確かに、「地球をほる」✕冒険って、それだけで「なになに、どういうこと」となるかもしれない。予想していたよりも、タイトル時点の反応がよくて読み手としてはありがたかった。
そのおかげで、最初から興味をもってしっかり聞いてくれていた印象。「ペンフレンド」という言葉は知らないかなと思ったので「手紙の交換をする相手のことね」と簡単に補足して読み進む。
「食料や水や、物資の補給」なんてフレーズも出てくるから、やっぱり中・高学年を想定した内容かなと思う。味わう物語というよりは、冒険の計画をして着々と進行していく、わりと淡々とした話の運び方なので、聞いているほうはわかりやすく、疲れずに聞けるかも。
後半は、英語が登場。日本から地球を掘っていったらアメリカに出たという設定なので、“違う世界に来てしまった!”感覚を伝えるためにも、英語の本文と、添えられた日本語、両方とも読んでいった。
読み終えて、最後に、この本の醍醐味ともいえる、「読んでいるうちに、地球の反対側に出ると同時に、本も上下がひっくり返っていたんだよ」という事実を解説。
するとその瞬間、一番前の男の子が「おもしれー!」って声をあげてくれて、めちゃくちゃ嬉しかった。
まずは興味をもってもらうこと。それが一番うれしい。
調子にのって(?)「絵本って小さい子向けのものってイメージもあるかもしれないけど、こうやって英語が出てきたり、仕掛けがあったり、今だから楽しいものもいっぱいあるから、まだまだ楽しんでみてね」なんてコメントして、終了。
あとから気づいたけれど、そういえば1冊目にも「日食」が登場していたから、それも「いまだからこそ味わい深い」ひとつとして一緒に触れたらよかったな。
そんなこんなで、初めての高学年は緊張もしたけれど、むしろ静かにしっかり集中して聞いてくれるという意味では「高学年楽しいな?!」となった。
低学年には低学年のわいわい楽しんだり元気に反応したりしてくれるよさがあるし、高学年は高学年の、じっくり落ち着いてお話に集中したり、一人ひとりが自分のなかで受け取ってくれたり、違うよさがあるのだと思う。
どちらも愛おしい。そして子どもたちは本当に、日々どんどん変化してゆくのだな。まぶしい。
ところで川端誠さんといえば、落語絵本も我が子にも反応がいいので、読み語りでもトライしてみたいなあ。15分という限られた時間ではなかなか厳しい面もあるけれど、機会があれば。
高学年はぜひ情緒的な、じんわり、じっくり味わうお話も聞いてほしいなと思うけれど、そういう本を読む方は他にもたくさんいらっしゃるので、自分の回はキャラ的に、どちらかというと、言葉遊びや落語や、ちょっとおもしろい本…なのかなあ……?と勝手に思ったりもしている今日このごろ。
いやいや、決めつけずにじんわり系も引き続き、探してゆきますけれども。ね。