連休も明けて、学校に慣れ始めたシーズン。2年生向けには今年度初の読み語り。
候補はいろいろ借りていたけれど、時間の組み合わせと内容とのバランスを考えて直前までうんうん悩み。
運良く前日に立ち寄った本屋さんで「これは!」という出会いもあり、前から借りていた候補と組み合わせて、最終的には時間的にも内容的にも、なかなか楽しめる構成にできたような気がする。直前まであがくのも、大事かも。
それでは今回も自分の備忘録を兼ねて、たんたんと記録をしてゆきます。
5月中旬
「おはようございます! 朝だね。今日は朝読むのにぴったりな1冊から。遅刻しちゃいそうなとき、あるよねー。そんなどきどき感をみんなで味わってみよう〜」と言ってスタート。
▼1冊目
『がっこうに まにあわない』
(ザ・キャビンカンパニー/あかね書房)
目安:5分
こちらが、前日に立ち寄った独立系書店で手にとった1冊。
タイトルからして、「小学生の朝の読み聞かせにぴったりだな感」がすごいけれど、開いてみるとその迫力ある大きな絵に、「これは……!ぜひ読まねば!」という気持ちにさせられた。
特に後半、学校に遅刻しそうで焦る気持ちのなか、異様に長い電車がやってきて「ゴンゴンゴンゴン……」と数ページにわたってなかなか通り過ぎず、時間が刻々と過ぎていく、という描写があるのだけれど。
このシーンは黙読したときすでに、子どもたちが反応してくれる風景が頭に浮かんだ。
実際にクラスで読んでみたら、予想どおり、この電車のシーンは大盛りあがり。それまではぶつぶつツッコミながら聞いていた子たちも、思わずクスクス笑いだして。
そしてやっぱり、大きくて独特の世界観のある絵がまた、とてもいい。後ろの席からも見やすいことは、お話の世界に入り込む大事な要素だと思う。
実際、聞いてくれていたクラスのやんちゃそうな男の子が、1分、1分と進んでいくうちに「やばいよ、やばいよ!」と口に出して言っていて、ああ、お話に入ってくれてる、と嬉しかった。
学年を問わず、小学校の朝の読み聞かせの1冊目に活躍させたいなと思った1冊でした。
▼2冊目
『きみは しっている』
(五味太郎/岩崎書店)
目安:8分20秒
五味太郎さんの絵本、好きでいろいろと読んできたつもりだったけれど、これは今回はじめて出会った1冊。
図書館で借りてきて読んでみたら、わたしも、子どもも、まんまとひっかかった……というか、なんというか。
簡単にいうとこの本にはちょっとしたトリックのようなものがあるのだけれど、それはぜひ、本書を読んで味わってみてほしい。
2年生の教室で、大人数に向けた読み語りの場でちゃんと伝わるかな?どうだろう?という不安もいくらかあったのだけれど、この本の魅力はなかなかほかの本にはない味わいなので、やってみよう!という気持ちで30人以上の教室で読んでみた。
結果、やってよかった!と思う。お話の最初から、「このほんをよんでいるきみ」に話しかけてくれる構成のこともあり、子どもたちも声を出して反応しながら、しっかりお話に入って聞いてくれた。
投げかけに対しても、まんまと素直な(ひっかかった)反応を元気に返してくれて、よしよしと読み進める(笑)。
最後の種明かしともいえるところで、あるページに戻って見直してごらん、というセリフが出てくるのだけれど、そこで立ち戻って2度ほどページをめくったりしていたら、「あ・・・!*****だ!」と自分で気づいている子もいた。
子どもって本当にすごい。自分も含めて大人のほうが、よっぽど気づくのが遅かったりするもの。
ちなみにこちらの絵本、奥付をみたら初版は1979年とあった。その内容がいまでも人々にこうやって新しい衝撃を与えてくれることに感服する。
五味さん、さすがです。また子どもたちと一緒に、何度も味わいたいと思います(購入したいなあと思って調べたら、いまは販売がないらしい。ええっ、、なんで。この絵本、もっともっと評価されるものじゃないのか? 再販してほしい……!)
そんなこんなで、読みがたりの前々日までは実は違う本を読もうと考えていたのだけれど、ぎりぎりまで吟味した結果、子どもたちもたくさん反応してくれる2冊にできて、よかったなと思う。
いま入っている学校では、私たちにとっては月に2回でも、一度に全学年入れるわけではなく、子どもたちにとっては2ヶ月に1回くらいの頻度の機会なので、やっぱり1回1回の機会をなるべく大事にしたいなと思った。