小学校での読み語り、個人で入るのは10回目。
低学年ということもあり、今日は短めの絵本を3冊組み合わせ。図書館でブラウジングしていて出会った1冊もある。
3冊すべて終わって、前の席の子が「楽しかった〜」とつぶやいてくれたのが、何より嬉しかったなあ。あなたの1日の楽しさのひとつになれたなら、本当に読んでよかったよ。
6月上旬
▼1冊目
『あな あな はてな』
(はらぺこめがね/アリス館)
目安:4分〜4分半
前回の記事で、最近はインターネットでのリサーチばかりになっていたから、またリアル図書館にも出かけて自分でパラパラしながら探そう、と決意していたわけだけど。こちらはその図書館ブラウジングの中で出会った1冊。
「突然だけど、みんな、穴のあいた食べ物って何が思いつく?」とクラスに聞いてみると、「ちくわ」とか「ドーナツ」とか声が聞こえてきて。「じゃあその穴、なんで空いてるか考えたことある?」「一緒に見てみよう〜」と言ってスタート。
“あなあな はてな?なんのあな どうして あいた?こんなあな”
のリズミカルなフレーズに始まって、リズム重視で楽しい絵本という感じなのかなと思いきや、もちろんその性質はあれど、それだけではないのがこの本の魅力。
リズミカルな文章と、ダイナミックでカラフルで楽しくなっちゃう絵にのって、内容はとっても理科的というか、実際的。
ちくわにはなんで穴があいているの?れんこんは?マカロニは……?
れんこんの穴が、水の上で吸った空気を泥の中まで運ぶのだというページでは、子どもたちから「え、そうなの〜?」とびっくりの声も。
大人も案外「あ、そうなんだ?!」と思う内容があって、いろんな世代でも一緒に楽しめる。
▼2冊目
『こどもかいぎ』
(北村裕花/フレーベル館)
目安:4分程度
表紙を見せながら「会議って大人の人がする話し合いのイメージだけど、今日は子どもたちが集まって、何やら話し合いをするみたい。さっそく読んでみるね〜」とサクッとスタート。
表紙とタイトルを見せた段階で、子どもたちは結構興味を示してくれていたもよう。こどもにとって、引きのあるタイトルと絵だと思う。
最初はまじめな話し合いのシーンから始まって、クラスの子どもたちも大人しく静かに聞いていたけれど、絵本のなかで子どもたちがいろいろと自由に意見を出し合うのを聞いているうちに、クスクスと笑いが起き始めて。
徐々に、「自分の親が怒るとどれだけ怖いか」対決になっていくのだけれど、お父さんが鬼になったり、ようかいになったりするところは絵もとても迫力があり、聞いてくれている子たちも大いに盛り上がった。
お話のなかではみんなで「かいぎ」した結果、ある結論が導き出されるのだけれど。
それがとってもほっこりする解決策なので、今回読み語りを聞いてくれた子のなかで、家でやってみてくれる子がいるといいなあ。
▼3冊目
『はみがきあわこちゃん』
(ザ・キャビンカンパニー/すずき出版)
目安:4分10秒〜4分40秒くらい
前々回、『がっこうにまにあわない』に出会って、ザ・キャビンカンパニーさんの絵本いいなあと思い、いろいろと調べているなかで、お二人とも荒井良二や長新太が好きとおっしゃっていたインタビュー記事を見つけ、ああそれはもう絶対に、このお二人の生み出す世界をわたしは好きだまちがいないと勝手に確信したので何冊か本を購入した。
そのなかで、『はみがきあわこちゃん』は、これは6月にぴったり!と購入した1冊。
「みんな、6月4日ってなんの日か知ってる?」と聞いたら、正解は出なかったけれど、「6は“む”、4は“し”とも読むから、虫歯予防デーといって、歯みがきをがんばりましょうって日なんだって。そこで最後は、歯みがきが出てくるお話を選んでみたよ〜」でスタート。
表紙を見せた時点で「きれい〜」という子も。「そう、絵もとってもきれいだから、一緒に楽しんで見てね」と添えて、お話へ。
はみがきが大好きなあわこちゃんが歯みがきをしていたら、あわがあふれて、街中があわだらけになって……。
絵の力が強いのか、子どもたちもお話に引き込まれて聞いてくれていた印象。
後半、くじらが出てくる直前のページでは「くじら!」と予想を声に出して反応してくれる子たちも。
魅力的な絵は子どもたちもよく見てくれるし、読み手としてもとても楽しく読める1冊でした。「あわこちゃんのはみがきマーチ」のセリフ部分は、せっかくなので、後ろで紹介されてるメロディの通りに読みました。
終了後、「今日はドーナツで始まったから、歯みがきで終わってみました」と、それぞれの表紙をセットで見せたら、奥で先生がくすっとしてくれたのが地味に嬉しかった。
子どもたちも、今日の歯みがきのときに、ぼんやりでもあわこちゃんワールドを思い出してくれたら嬉しいなあ。
ひさびさの3冊構成だったので、入室時刻が少しでも遅れると困るなあとドキドキしていたのだけど、ベテランの先生だからか、時間ちょうどくらいに入れてくれたので大変助かった。
繰り返し読みたい絵本もあるけれど、新しく見つけた絵本が子どもたちにも好反応だとやっぱりそれも嬉しい。どちらも取り入れながらやってゆこう。