
2025年、初めての読み語り。
今回は季節にちなんだ絵本にしてみました。先週風邪をひいたせいで、咳だけのこっていて途中で咳こまないか心配だったけど、事前にトローチでケアしていたからか当日は無事に読み終えられてホッとしました。
ひさびさの低学年、元気な反応で楽しかったな。
1月下旬
▼1冊目
『みんなでぬくぬく』
(エルザ・ドヴェルノア 文、ミシェル・ゲー 絵、すえまつ ひみこ 訳/童話館出版)
目安:約5分20秒
ここ数日冷え込んでいることもあり、「みんな朝、寒いよね! 1冊目は、この本でちょっとあったかい気持ちになりたい思います〜」とスタート。
家のストーブが壊れてしまったハリネズミとリスが寒すぎて、体を寄せ合って眠ろうとしたら、ハリネズミの針がチクチク……。
最終的には、アンゴラうさぎのフワフワさんのもとを2匹で訪れ、フワフワさんを真ん中に、3匹で仲良く体をよせあって、ほっこりぐっすり。
そんな短いお話なのですが、寒い季節に読むと、そのフワフワさんに寄り添ってなかよく眠るあたたかいシーンの喜びが、きっと子どもたちにも届いたはず。
次の絵本はわいわい大騒ぎだったのですが、1冊目はしずかに、じっと聞いてくれていました。少しでも、ほっこり優しい気持ちになれたらいいな。
▼2冊目
『かえるをのんだととさん(日本の昔話)』
(日野十成 再話、斎藤隆夫 絵/福音館書店)
目安:約7分20秒
「みんな、2月3日って何の日か知ってる?」と投げかけたら、「せつぶん!」と元気な声があちらこちらから。
「そうだね。ということで、今日は節分にちなんだ本を持ってきました。ところでみんな、お腹が痛いときってあるよね、お腹痛いとき、どうする?」とつないでみると、「トイレに行く!」「マッサージ!」などまたいろいろと反応が。
そこで、「うんうん、そうだね。では、このお話のなかでは、お腹が痛くなったときどうしたのか。一緒にみてみよう〜」と、言ってスタート。
その導入の通り、お話は出だしでいきなり、腹の痛くなった「ととさん」が出てきて、「かかさん」に相談したら「おしょうさまに聞いてみなされ」と言われて、聞いた通りの方法をどんどん試していく……という、繰り返しがおもしろいストーリーなのですが。
しょっぱなから、おしょうさんに「カエルを飲むといいぞ」と言われてカエルを飲んだり、「ヘビを飲むといいぞ」と言われてヘビを飲んだり。
昔話ならではのなかなか大胆な展開で、子どもたちは「いや、あほやろ!」「なんでもおしょうかよ!」とわいわい突っ込みながらも、お話はしっかり聞いてくれていたもよう。
個人的には、昔話の語りのリズムや、独特な擬音が好き。
かえるが はらのなかを ぺたらくたら あるく。
こんどは へびが ずらくら ずらくら はらのなかで うごく。
とかね。おもしろい表現するなあ、と思う。
絵も、横開きの絵本を活かした迫力のある構図で描かれているので、遠くからでも見やすい。鬼を飲み込むシーンでは「うぎゃあああ!」と子どもたちも大反応。
最終的には、おしょうさんが豆をつかんで「おにはーそとー!」と鬼を追い出すわけだけれど。
「ととさんのしりのあなからとびだした」に大笑いの子どもたち。このシーン、独特な絵と構図の迫力もあって、とってもおもしろいのです。
裏表紙では鬼がスタコラサッサと逃げてゆくさまも描かれていて、余韻もあり。
奇想天外といえば奇想天外なストーリーなのだけど、子どもたちもきっと、終始「そんなわけないやろ!」とツッコミつつも、お話の世界としてわいわい楽しんでくれていたのかなと思う。興味なさそうに無表情で聞かれるよりも、100倍嬉しいものです。
▼3冊目
『えほんなぞなぞうた』
(谷川俊太郎 文、あべ弘士 絵/童話屋)
少しだけ時間があまったので、「おまけで、なぞなぞを1、2問出すね〜」と言ったら「やった!」の声が。なぞなぞの人気は不動。
「谷川俊太郎さんっていう、詩を書く人が書いたなぞなぞだよ。みんなが習った『スイミー』の翻訳とかをしていた人だよ〜」と触れてから、事前にピックアップしていたなかの1、2問だけ出題。
1問目は、けっこうみんな正解を言ってるのが教室のあちこちから聞こえてきた。
2問目はちょっとひっかけ要素のある問題を選んだので、スパッと正解にたどりついた人は少なかったかも。でも正解を言ったら、「そう、◯◯だから!」とその理由をはっきり口に出して言ってくれた子がいて、さすが!
こちらから何を言ったわけでもないのに、1問目のあと、「わたしあの本読みたいかも」ってつぶやいている子の声が耳に入ってきて、嬉しくなった。何がきっかけでもいいから、「本を読みたい」と思ってもらえるのは嬉しいことだなあ。
2問目を出し終えたあとも、「つづきが気になる人は、図書館でも借りられるので、さがしてみてね!」と結んできた。
いきなり長文を読まなくてもいいから、「教科書じゃない本を自分から手にとる」ってことが、もっともっと身近なものになってくれたらいいなあと思っている。
ひさびさの低学年は、パワーに圧倒されるくらい元気だった。
今回は元気に反応してもらえる1冊を選んでよかったな、と思う。節分のとき、ちらっとでもこの絵本のことを思い出してくれたら嬉しいし、こういう昔話の音のリズムの心地よさやおもしろさが、今後も体のどこかに残ってくれていたら嬉しい。
昔話の独特の語り口って、自分や親自身がそういうしゃべり方をしていたわけじゃないのに、なんで心地いいんだろうね。
自分自身も子どものころに、親やテレビやいろんなところで昔話を聞いて、そのときの楽しかった記憶と結びついているから、かしら。それともDNAに染み付いているのかしら。
なぞなぞは微妙な時間調整にとってもぴったりだったとわかった。こうやってピックアップして活用できる本も、もっと探してみたい。