
2月も下旬ということで、小学校は年度終わりが近づく季節。
そんな時期に読みたい物語を中心に、バランスも考えて、短く元気に楽しめる本と組み合わせてみました。
何かちょっとでも、心に残ってくれてたいたら嬉しいなあ。
2月下旬
▼1冊目
『へんしんマンザイ』
(あきやま ただし作・絵/金の星社)
目安:約4分30秒
入室時、ちょっとクラスがまじめな雰囲気のように感じたこともあり、最初は笑って盛り上がってもらえたら嬉しいなと思って、何冊か持参したなかからこちらをセレクト。
「ことば遊びの本を持ってきたので、まずはみんなでわいわい楽しんでみたいと思います。声出していいよ〜」と振ってから読み始めた。
漫才ライブのように、司会者が出てきて「さあ、最初はこちらのお二人です!」という感じで、何組かのコンビを紹介していくスタイルなので、読む側としても声を張って盛り上げやすいのもよいところ。
ことば遊びの形は、たとえば「きんしょう(金賞)」という言葉が、「きんしょう きんしょう きんしょう きんしょう……」と繰り返して、ページをめくると「しょうきん(賞金)」に変身しちゃう!というもの。
だんだん子どもたちも予測しはじめるのだけど、途中では「え、なにそれ?!」という変身例も出てきて、思わず笑っちゃうという、そのバランスが好き。「どんぶり」が、怪獣「ブリドン」になったところ、結構笑ってくれていたなあ。
▼2冊目
『おさがり』
(くすのき しげのり 作、北村 裕花 絵/東洋館出版社)
目安:約9分30秒
2月下旬だけれど、この学年に入るのは今年度最後だな、ということもあって選んだ1冊。
最初はものの「おさがり」の話から始まって、でも最後には、実は学校で使っている机や椅子も、それから教室もおさがりだよね、という話につながってゆく。
裏表紙には「地球」の絵が描いてあって、「これも、そうかもね……?」とつぶやいてみたら「ええ〜?!」という反応だったけれど。たぶん1人くらいは、「そっか、地球もおさがりかも……」と感じてくれた子がいるのではないかなあ。
主人公が小学1年生なので、教室おさがりのところの本文は、1年生に読んだほうがより自分ごととして捉えてくれるかもしれないなあ、と思った。
とはいえ小学校や教室が舞台なので、違う学年でも、子どもたちとしては入りやすこみやすいお話だったかなと思う。少し長めのお話だったけれど、静かにじっくりと聞いてくれた。
▼3冊目
『みたら みられた』
(たけがみ たえ/アリス館)
目安:約1分50秒
教室に少し早めに入れてもらったおかげで少しだけ時間があまったので、ボーナス特典としておまけの1冊を。
「絵がきれいなので、見て楽しい本を紹介するね。気楽に聞いてね〜」と言ってスタート。“物語を集中して聞くのも疲れるよ”と、先輩読み語りメンバーがいつか言っていたので、長めのお話の後だったこともあり、最後は肩の力を抜いて聞いてもらえたらと。
この本は、初めて見たとき、絵柄に一目惚れしてしまった。
言葉としては「みたら」「みられた」という繰り返しがページをまたいで続いていく繰り返し絵本の構成なのだけれど、なんといっても絵と構図にパワーがあって、見ているだけで元気が出る。
個人的には、牛のページの3段階の構成のインパクトが大好き。ぜひ実物を開いてほしい。大きく大胆な構図なので、教室の後ろの席でもしっかり楽しめそうなのがまた推しポイント。
子どもたちも、繰り返しがわかってからは“次は何かな……?”と予想して声を出して参加してくれていて、嬉しかった。
2分程度で読み終えるので、読み語り会の1冊目や時間調整の1冊に、今後も読みたいなと思った1冊でした。
ストーリー系の2冊にするかどうか直前まで悩んだけれど、最終的には、1冊目は元気な言葉遊びの本にしてバランス的にはよかったなと思う。構成はいつも迷うので、いろいろ試していくしかないのだけれど。
2冊目はわりとみんな静かに聞いてくれていた印象。でもお兄ちゃんお姉ちゃんがいる子も、いない子も、それぞれの立場で何かしら、自分のなかでいろいろ思いながら聞いてくれたんじゃないかなあ。
先生がお忙しそうで、途中で退室されたのは少し残念だった。人によっては、絵本の世界観そのままに、私たちの退室後もうまく引き継いでくださる先生もいるので、そういう先生が増えてくださるとうれしいなあ、とは思いつつ。状況的には別件も忙しくてなかなか難しいこともあるよなあ、とも思いつつ。いつも、おつかれさまです。