わたしの中で、不動の1位である。この絵本。
長新太さんの絵本はだいたいどれもが大好きなのだが、その中でも最高傑作だと勝手に思っている。
子どもが1、2歳のころ、図書館で初めて手にしたのだけれど、読んであまりの衝撃を受け、どうしても手元においておきたくなって購入した。
なんというか、突き抜けている。
「そよそよとかぜがふいている」というなんとも涼やかなタイトル……からは、たぶんだれも想像のできないお話が、この絵本には詰まっている。
「えっ?!」と、たぶん5度くらい、裏切られる。
その裏切られるのが、なんとも小気味よくて、もうやみつきなんだ。
後半の、絶対にそんな展開は予期してなかった方向にとん、とん、とさも当然のような顔をしてお話が進んでいくのもよい。
それで、ここでお話が終わりか、と思ったら、もう1ページある。
そこでまた、「えーっ、そんな終わり方!」となる。これがもう、なんといったらよいのか、裏切られて気持ちいいとしか言いようがない。
これほど気持ちいい絵本を、わたしは他に知らない。
気持ちいいといえば、色彩の鮮やかさはもう、他の長新太さんワールドのように鮮やかで(もちろん例外もあるけれど)、言うことなし。
たくさんの動物が出てくるし、なんならそれらの動物がかたっぱしっからおにぎりにされちゃうものだから(ああついに言ってしまった)、もう子どもたちだって、よくわからないけれど目が釘付けだ。
そして笑う。「おにぎり!」と。
もうすべてが絶妙だ。
それに、顔が三角になって、鼻がびよんと長く伸びていなくても「ゾウだ」ってひと目で分かるの、なんなんだろう。長さん。さすがとしか言いようがない。
そんなわけで、「そよそよとかぜがふいている」は私の中で、不動の1位なのである。
長さん、最高だよ。
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