たんたんと絵本の記録を 絵本

絵本の読み語り記録:小学校2年生(2025.3月)

3月下旬。

先週はぽかぽか陽気で「すっかり春めいてきたなあ」なんてほっこりしていたら、なぜか今週は雪がちらつくほどに寒かったりして、気分もいそがしい。

仕事の都合でなかなか思うように選本に時間がとれず悩んだけれど、今年度最後の読み語りということも意識しつつ、でも純粋にお話や絵の魅力にも惹かれた、そんな2冊を持っていきました。

3月下旬

▼1冊目
『かえってきた風来坊』

(川端誠 作・絵/教育画劇)
目安:約10分30秒

家で読んで、読み聞かせにぴったりだなと思ったものの、3、4年生くらいが一番いいかな……と迷っていた1冊。

でも小2の娘に「これ、どうかな?」と読んでみたら「2年生たぶん、好きだと思うよ」と言ってもらえたので、その言葉を信じてこちらをセレクト。

教室では、「2年生最後の読み聞かせということで、少し長めのお話をもってきました」と紹介。

続けて、「みんな、風来坊って知ってる?」と聞くと、「知らなーい」の声。「風来坊ってね、旅がすきで、あちらこちらをあてどもなくさまよう人なんだけど……、今日はそんな、ある風来坊のお話をします」と言ってスタート。

落語絵本を数々手掛けられている川端誠さんの絵本なので、語り調を取り入れた日本語のリズム感がとても心地いい。読み手として読んでいて楽しいのって、聞いているほうにも伝わる。

話としては戦の時代の殿さまやお坊さんが出てくるものなので、子どもたち、とっつきづらいかなあとも思ったけれど、物語の最初でさりげなくそのあたりも説明してカバーしてくれるので、低学年でもきっとお話に入っていけるはず。

実際、10分30秒ほどの長い時間、子どもたち、じーっと集中して、お話に入り込んで聞いてくれているのが伝わってきた。

なかでも圧倒的なのは、物語の後半に出てくる、文字がない見開き、3ページの連続。

このページはぜひ実物を手にとって、最初から話を読みながら、出会ってほしい。私もこのページに初めて出会ったとき、映画を見ているようで、本当に「見事!」と思い、これは子どもたちもきっと何か伝わる…!と感じたのでした。

実際にこのページを子どもたちの前で開いている時間(こちらも意識してゆっくりとめくっていくので、その間だけで10〜15秒ほどあると思うのだけど)、それまではお話がドドド、と続いていた空間に突然静寂が訪れて、「お話の世界を追体験する」みたいな気持ちになった。

教室のなかでも、「おぉ……」みたいな、小さなつぶやきとも息ともとれないような音が少し聞こえていた。

大人数の教室で、この尺を2年生に読むのはなかなかチャレンジかな?とドキドキしていたけれど、すごく集中して聞いてくれて、うれしかったなあ。


▼2冊目
『じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ』
(accototo ふくだとしお+あきこ/大日本図書)
目安:約4分30秒

「つぎはちょっとリラックスして、絵を楽しんでもらいたい本を持ってきたよ」

「みんなこの1年、春、夏、秋、冬を過ごしてきていまここにいるね。また次の春が来るタイミングに、絵といっしょに、四季を味わってみたいなと思います」「2年生になった春、夏、どんなことしていたかなあ…と思い出しながら聞いてみてください」と軽くコメントしてスタート。

この絵本は、表紙を見たときに一目惚れしてしまった1冊。ふくろうの肌感も、レイアウトも、フォントも含めて、とても好き。

そしてページをめくると桜の花が散っているところから、四季のめぐりのお話がはじまります。

とにかく絵が美しいし、遠くからでもはっきりと見えるので、鏡に向かって試しに読んでみたとき、これは絵の力で伝わるものも大きいなあと思ったのでした。

桜から、キャベツのさなぎ、そして蝶とたんぽぽのわたげ、雨の季節のかえる、とんぼ……。リレーのバトンをわたすように、季節の移ろいを描きながら、つむがれていくストーリー。

そして「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」という、繰り返し登場するフレーズのやさしさ。

個人的には大好きな1冊。ただ、風来坊でぐっと集中して聞いてくれた後に、この静かにじっくり味わう構成は、2年生にはちょっと早かったかも……。と、集中力が切れつつある教室で思いながら読んだのでした。

それでも、ざわつくまではなく、基本的には静かに聞いてくれていた。よく見れば、飽きている子も確かにいるけれど、一方ではしっかり、「じっ」と見てくれている子もやっぱりいて。

1人でも2人でも、きっと味わってくれた子がいたなら、それだけでいい。

本を閉じたあと「また春が来て、みんなは3年生になりますね。また次の春夏秋冬も、楽しみつつ、本もたくさん読んでいってほしいなと思います」と結びました。


総じて、今回の構成はやっぱり3、4年生くらいのほうが、より楽しめたかもしれないなあ……と少し反省は残りつつ。

いや、今回は今回でよかったのだけれど、2年生で読むと、次の年の3年生では同じ本を読めないなあとなるのが、同じ学校で読み続けるうえでは悩ましいところ。

特に2冊めについては、5年生や6年生で読むと、きっと伝わるところが違うと思う。

いろいろと反省はありつつも、本を探す過程で、あたらしく素敵な本に出会えることは嬉しい。

そして3月は卒業の季節。6年生は巣立ってゆく。

子どもたちへ読み語りをつづけることは、未来の一部をつくることだなあと思うなど。

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