たんたんと絵本の記録を 絵本

絵本の読み語り記録:小学校6年生(2024.10月)

小学校にて、朝15分の読み語り記録。

今回は個人的に、朝読みとしては初めての6年生。慣れなくてドキドキする一方、「6年生に入るならこれを読んでみたいな」と思っている本は昨年からいろいろとあったので、試していけるのは嬉しくもあり。

さてさて、どんな反応があったでしょうか。

10月上旬

▼1冊目
『1つぶのおこめ』

(デミ 作、さくまゆみこ 訳/光村教育図書)
目安:12分

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高学年に入る機会があればぜひ読んでみたい、と機会を伺っていた1冊。

「みんな、インドってどんなイメージを持ってる?」と雑談がてら投げかけると、「カレー」という答えがたくさん。うんうん、確かにね〜と応えつつ、「ある教科が得意な国としても知られてるんだけど、知ってるかな」と聞くと、「算数」と即返ってくる。さすが6年生。

「そう! 九九も、日本だと9×9までだけど……」と言いかけたら、「19×19!」とすかさずつぶやく男の子も。「そうそう、インドでは二桁の掛け算まで学校でみんな暗記するんだって」「今日はそんなインドの、算数の昔話を持ってきました」と言ってスタート。

絵柄が少し細かいので、教室の後ろの席からは見づらいだろうな……と懸念していたけれど、導入でばっちり、こちらとコミュニケーションをとってくれたからか、みんなスムーズにお話に入っていってくれたよう。集中して聞いてくれた。

ストーリーは、ケチな王様に対して、賢い村娘のラーニがご褒美をもらう機会に、「今日はお米を1粒だけくださいませ。そして30日の間、それぞれ、前の日の倍の数だけお米をいただけませんか?」と言い、王様も了承するのだけれど……。というもの。

本当に、さすが6年生。このラーニの言葉を聞いただけで、きっと算数が得意な子たちが、机に何やら計算をしはじめたりして、しばらくしてから「結構多くなる……」とぼそっとつぶやいているのが聞こえた。

そして倍々になっていき、ついに30日目には5億粒以上になるわけですが。

そのページは両見開きを使って、王宮から米俵を背負った象の大群がやってくる様が描かれているので、ビジュアルとしてもとてもインパクトがある。大人も思わず、おおっ、と思うはず。

今回は、特に子どもたちから歓声はなかったけれども、少しずつ、しかしどんどん倍々に増えていくストーリーに、「どうなるんだろう……」とどの子も真剣に見入って聞いていてくれ、その表情から、楽しんでもらえている手応えがあった。

読み終えたあと、後ろで一緒に聞いてくれていた担任の先生が前に出てきて、累乗の式を書いてくれた。「30日目にもらえるお米の数は、中学ではこうやって書きます」と解説も。読み聞かせの時間、別の仕事をしている先生も多いなか、こうやって興味を持って参加してもらえるのはとても嬉しい。

私も、「ついでに、知っている人もいると思うんだけど、厚さ0.1mmの新聞紙を、何回折ると富士山に届くと思う?」と聞いたら、やはり知っている子たちも複数。その子たちにはひとまず言わずにいてもらい、「10回くらいと思う人〜?」と数を増やしつつ手を挙げてもらったら、一番多いのは30回以上(もっと100回以上、とかも言えばよかったな〜)。正解は26回。

「倍々もばかにしちゃいかんですね」という先生との共同まとめのような感じで、おもしろかった。

私は算数が得意なほうではないけれど、むしろそういう子たちにも、「ふーん、数っておもしろいな」と思ってもらえたら嬉しい。


▼2冊目
『だじゃれどうぶつえん』
(文・中川ひろたか、絵・高畠純/絵本館)
目安:2分半〜間を十分とると3分

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もう1冊は、時間があれば読もうと持っていったおまけの1冊。

「いま、結構頭を使ったと思うので、もう1冊はだじゃれの本を持ってきました。こっちはリラックスして聞いてください〜。頭をゆるめる時間も大切だからね〜」という感じでスタート。

この中川ひろたかさんと高畠純さんの「だじゃれシリーズ」、いろいろ出ているのだけれど、もう、どれも、大人にとっても、ずっとじわじわおもしろい。

時計を見て「あ、ゴリラ(5時だ)」とか、目覚まし時計で飛び起きて「わっ、ひつじ!(7時)」とか。

ガハハと大爆笑!という感じではないんだけれど、お腹の底のほうでじわっとクスッとしてしまう感じ。これがいい。

だから教室が笑い声に包まれるような感じではなかったけれど、ちらっと子どもたちの表情を見たら、にまにましながら見てくれている子もいて、嬉しかった。

ただ、なかなか高度な言葉遊びも多いので、時間に余裕があればもうちょっと間をとって読みたかったな。間をとれたときは、ワンテンポ遅れて、理解して「ああ、そういうことか」と思ってくれるような様子があった。

算数の話だけで終わってもよかったけれど、やっぱり15分をフルに使いたいし、1冊より2冊のほうがお得な気分になると思い、詰め込んでしまった。算数好きの子も、国語(言葉遊び)好きの子も、楽しんでもらえていたら嬉しい。


初めての6年生でどうなることかと思ったけれど、むしろ前回入った5年生よりも、ある程度声を出して反応しながら参加してくれる、楽しいクラスだった。やっぱり高学年でも、最初に声を出す反応を求める呼びかけはしたほうがよさそう。

そして先生が一緒に入ってくれたのがやっぱり、とてもよかった。先生も興味を持って聞いてくれることで、子どもたちもまたこの時間を、「絵本か、子ども向けだろ」なんて思わず、楽しみにしてくれるのではないかと思う。

6年生にもなると「絵本なんて」と思う子もいるかもしれないけれど、いい絵本はそれこそ、大人が読んでも本当にいい。

担任の先生、一緒に興味を持って聞いてくれて、ありがとうございました。

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