寒さと疲れでどうしても甘いものが食べたくなった午後、通り道の和菓子屋でおはぎを買った。
冷たい空のもと、自転車でなんとか自宅へたどりつく。
重たい荷物をおろして食材を収め、後の予定も控えるなか、束の間のティータイム。
やっぱおはぎには緑茶よね。お湯を沸かしながら茶葉に手を伸ばしかけ、いやまてよ、と思う。
こんな芯まで冷え切った体には、生姜が必要だ。
"アイニード、ジンジャー!"
心の中で謎のかけ声をかけながら、生姜をとりだし、ミニおろし金でじゃっじゃっ、と直接、マグカップの底にすり入れる。
お気に入りの紅茶のティーバッグを入れ、お湯を注げば、お手軽ひとり分バージョンの生姜紅茶ができあがり。はちみつをたらしたいところだけど、今日はおはぎのお供にするのでスパイシーなそのままで。
待ちきれず、おはぎにかぶりつく。うーん。最高。和菓子屋さんならではの、丁寧に炊かれたつぶあんは甘過ぎず、かといって物足りなくもなくて。ちょうど、欲しかった味。
甘さの残る口に、生姜紅茶をひとくち。
おお。この組み合わせ、意外といける。あんこには緑茶の渋みがベストパートナーだと思って生きてきたけれど、生姜紅茶のスパイシーさも変化球的にあり、だな。
ぴりっと引き締められた口はまた、おはぎにかぶりついちゃうし。そのうち、体の奥からぽかぽかしてくるし。
時間にすればほんの5分足らずの、でも大事なティータイム。
さて、もうひとしごと。がんばりますかね。
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※この文章と写真は『At your own pace』管理人が運営するInstagram「もぐもぐエッセイ─食と暮らしと」のバックナンバーです。@mogu2bunにて、食べものや暮らしにまつわる400字or600字エッセイ等を投稿中。