少し前、落花生掘りをする機会があった。
千葉出身のくせに、落花生堀りをしたのも、土の付いた落花生を見たのも九州が初めて。今回で二度目だ。
子は虫が苦手だけれど、落花生を引っこ抜く感覚は楽しいらしい。掘り起こしたらますますたくさんの虫が出てきた。いい土なんだなあ、と思う。
収穫した落花生をいただいて家に帰り、新鮮なうちにとすぐに茹でた。
さっきまで土の中で虫にかじられていた落花生が、引き抜かれ、土を落とされ、ぽこぽこと沸騰した泡のなかで茹でられ、人に食べられようとしている。不思議な心持ちになる。
確かにわたしたちは、森のめぐみを分けてもらっているのだ。
茹で上がった落花生はぎゅうと甘くて、エネルギーや栄養が詰まっているような味がした。
"種”だものなあ、と実感する。
殻には虫が食べたような痕があっても、中身は無事なものはたくさんあった。すまないね、いただくよという気持ちで、ポリポリ、ポリポリと食べた。
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※この文章と写真は『At your own pace』管理人が運営するInstagram「もぐもぐエッセイ─食と暮らしと」のバックナンバーです。@mogu2bunにて、食べものや暮らしにまつわる400字or600字エッセイ等を投稿中。