たんたんと絵本の記録を 絵本

絵本の読み語り記録:小学校1年生(2024.7月)

小学校、朝の15分読み語り記録。

今回は小学1年生。じっ、と集中してお話に入ってくれる姿がとっても愛おしかった。

ここ1、2週間でいきなり暑くなった&夏休みもすぐそこということで、今回は季節感推しで、夏にちなんだ3冊を。

7月中旬

▼1冊目
『ぼくのかえりみち』

(ひがし ちから/BL出版)
目安:5分

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昨年はじめて読んで、1年生の読み語りでぜひ読んでみたいな、と思っていた1冊。

子どものころ、きっと誰もがやったことあるであろう、「白いとこだけ通っていいんだからね!」という遊び。絵本の主人公も、この日は白い線の上だけを歩いてかえろう!と決めて、歩き始め、途中にいろいろなことが待ち受けていて……。

もうこの設定だけで、小学1年生の心にはぐっと入り込みやすかったよう。この1冊はわいわい反応するというよりは、絵を「じっ!」と集中して見つめて、「ぼく」と一緒にハラハラしたり、お話の世界に入り込んで静かに聞いてくれているのが伝わってきた。

ところどころに描かれる、"白い線以外の部分は断崖絶壁!”みたいな脳内イメージに通じる絵は、まさに「落ちたら地獄ね〜!」と子どもたちがよく言っているイメージそのもの。この表現方法、絵本の魅力だなあ。

とうもろこし畑やトンボなど、さりげなく夏の季節感も描かれているので、暑い季節に読むのは特にぴったりかもしれない。

帰り道、この絵本をちょこっとでも思い出して、同じように遊んでくれる子がいたら嬉しいなあ!


▼2冊目
『なつのおとずれ』
(かがくいひろし/PHP研究所)
目安:5分30秒

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「もうすぐ夏休みだね〜。夏が始まる、いまにぴったりの絵本を選んでみたよ」と表紙を見せ、「スイカにアイス、みんな待ち構えてるね…!」と続けて、タイトルを読み、スタート。

だるまちゃんシリーズでも有名な、かがくいひろしさんの安定の五感ワールド。

ソフトクリームにスイカにメロンにかき氷にセミに蚊取り線香にと、夏のアイテムたちがよーいどん!走り出す。小さい画面と、大きく見せる迫力満点の画面の使い方と、山盛りの擬音たちが、メリハリをつけて子どもたちを飽きさせない。

「わっせわっせわっせわっせ」「へっしょへっしょへっしょへっしょ」など、いろんな擬音に変化しながら皆が走り続け、流しそうめんのレールの上を「しゅー」と滑り降りていく、その疾走感の気持ちいいこと!

滑っていくシーンはまた大きな画面をダイナミックに使った迫力感のある絵で、子どもたちも「すげーっ」と反応してくれていた。そうして次のページでは、太陽に「カパッ」と吸い込まれていく。この一連の流れが気持ちいい。

夏が来るわくわく感を高めてくれる、夏休み前にぜひ読みたい1冊。


▼3冊目
『あつい あつい』
(垂石眞子/福音館書店)
目安:2分10秒

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2冊めが『なつのおとずれ』だったこともあり、最後は時間に余裕があれば読もうと思って持っていった、こちらの短い1冊を。

もうタイトルと表紙の汗ポタポタペンギンからして、ここ最近、私も子どもたちも思っている気持ち、そのもの、なのでは。

お話の展開はシンプル。「あついあつい どこかに すずしいところは ないかな」とさまようペンギンが日陰を見つけ「ああ すずしい」と休んでいたら、それは実はアザラシの影。「ぼくだってあついんだよ すずしいところを さがそうよ」と2匹で次の日陰に移動して涼んでいたら、それはまた、違う動物の影で……と何度か繰り返す。

3回目にもなると、ページをめくる前に予想してくれるように。影が出た瞬間、「ゾウだ!」と言ってくれる子もたくさんいた。

それまでずっと、背景が砂漠みたいに黄色いのだけれど、最後にいきなり「うみだ!」と全面の青い海!

そして見開き1ページ使って動物たちが「ざっぶーん!」とダイブする。その気持ちよさそうなこと。子どもたちも実際自分たちがいま暑いし、プールの授業も控えているしで、このシーンを想像以上に、すごく嬉しそうな顔でよく見てくれた。

「ペンギンかわいい〜」なんてコメントしてくれる子も。そうか、ようやくどの動物も、このページでいっちばん気持ちよさそうな表情なのだなと、その子のコメントがあって私は初めて気付かさせてもらった。

読み終えてから、「みんなも海にプールに、水遊びも楽しんで夏を乗り切ってね〜」なんてコメントしちゃったけど、よく考えたら夏を乗り切る、ってのは大人の発想であって、子どもとしてはひたすらわくわくのほうが大きいよね。「夏を楽しんでね」のほうがよかったな〜。


季節感推しで選んだのはひさしぶりだったけれど、オールシーズン楽しい昔話や定番もそのよさがあるし、こうやってはっきり季節の変わり目を体感しているときは季節の絵本にふりきってみるのも、そのよさがあるなあと感じた。

調べているとあれも読みたい、これも読みたいと思うけれど、15分という制約のなかで最終的に子どもたちに届けられるのは1〜3冊ほど。

逆にいうと、1〜3冊しか届けられないからその体験を少しでも楽しんでほしくて、いろんな本を候補にあげてしまうということでもあるのだけれど。植物の水やりにおける小さな1滴みたいに、ぽちょん、と小さな響きでもいいから、なんらか、子どもたちの心の栄養のかけらに、なってくれていたら嬉しいなあ。

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