絵本

『ぱたぱた するする がしーん』(作:くりはらたかし/こどものとも年中向き2018年8月号 福音館書店)絵本紹介

2週間に一度は図書館に行って子とたくさん絵本を借りてくるのだけれど、先日借りたなかで個人的に印象的だった1冊が、『ぱたぱた するする がしーん』(作:くりはらたかし/こどものとも年中向き2018年8月1日発行)。

以前、「雑記:わたしが絵本に惹かれる一番の理由」という記事にも書いたけれど、絵本の世界は、大人の世界の前提を気持ちよくすっ飛ばしてくれるから好きだ。

この本もまた、なんだか得たいのしれない何かが「ぱたぱたぱた」と飛んできて、その下にはなにやら紐がぶらさがっていて、それを「するするする」と引き上げてゆくと、あるとき「がしーん」と合体する。

何の前触れもなく、最初からその世界が繰り返されてゆく。

でも繰り返されているうちに、なんだか世界はそういうものだったんじゃないか、みたいな気持ちになってくるからいい。

ロボットのおもちゃや10円玉なんかも、「がしーん」と合体されて、飛んでゆく。どこかへ。

最後の方でたくさんぱたぱたぱたぱたぱた飛んでくるところ、子に読み聞かせしながら思わず自分が楽しくなって笑ってしまった。なんだか本当に、羽音が聞こえるような気がした。

最後のオチはここでは書かないけれど、それもまた、いい。

最初から最後まで、この世界はこういうものです、とか、こういうことになっています、とか余計な説明は一切なくて、でも読むうちに自然と、そういう世界なんだな、と受け入れている。

一度わたしが読み聞かせを終えたとき、5歳の娘はわたしの手から本をむんずと取り上げて、今度は自分が読む!といって、もう一度最初から読み始めていた。

「ぱたぱたぱた! するするする。がしーん!!」

それだけの世界だし、そこからいくらでもこの世界のことを想像できる。

やっぱり好きだよ、絵本の世界。

 

※『ぱたぱた するする がしーん』の表紙画像は、福音館書店さんHP内の「著作物の利用」記述にもとづき、利用可能な範囲で使用しています。

-絵本

© 2024 あのてんぽ:At your own pace