
長かった夏休みが終わり、新学期が始まって間もない9月上旬。
とはいえ、まだまだ暑い。日中は毎日、30度を余裕で超える日々。秋を扱う本を読むにはちょっと早そう。
ということで今回は、9月の敬老の日や、翌月の運動会にちなんだ選書をしてみました。
9月上旬
▼1冊目
『うっかりおじさん』
(エマ・ヴィルケ 作、きただい えりこ 訳/朔北社)
目安:約3分10秒
「来週の月曜日って、学校お休みだよね。何の日か知ってる?」と聞くと、「敬老の日!」とすぐに正解が。敬老の日って何か知ってる?との答えにも続々正解が飛び出す、どんどん声を出す元気な2年生。
「ってことで今回はね、おじいちゃんとか、おじさん(無理やり?笑)が出てくる絵本を持ってきてみたよ〜」と、絵本タイムをスタート。
「1冊目は、うっかりおじさん。みんな朝、出かけるときに着替えて支度するよね。今日は、おじさんの支度を、みんなに手伝ってもらおうと思います」と紹介して読み始め。
「え〜、手伝う??」とざわざわしながらも、1ページ目をめくると、独特のおじさんのしぶい顔つきのどアップに、笑いつつ引き込まれる子どもたち。
この本、構成がとってもユニークで。
きみ、ちょうど いいところに きてくれた!
めがねが みつからないんだ。 みなかったかい?
という冒頭に始まり、読者側がメガネを手渡したり、帽子を手渡したりするような形で描かれる、参加型要素のある絵本。
さらに楽しいことには、読者側がおじさんのメガネをかけて視界がぼやけちゃったり、まるで読者が試しに帽子をかぶっているかのように、つばだけ描かれていたりするシーンがあって、とっても新鮮で驚きがある。
メガネは、遠くからだとぼやけてるのが少し見づらかったかな。でも帽子のシーンは子どもたちも大いに盛り上がって笑っていた。
というか読んでる間中、ページをめくるごとに子どもたちがたくさんツッコミを入れてくれて、「ちょっとは自分でやれよ〜」なんて言う子も。
しかしおじさんは「うっかりおじさん」なので、最後にはある忘れ物をしちゃうのですが……。それに気づいている子どもたちは大盛りあがり。
裏表紙の余韻までしっかり見せて、楽しい1冊でした。
▼2冊目
『ぼくのジィちゃん』
(くすのき しげのり 作、吉田尚令 絵/佼成出版社)
目安:約10分強
1冊目が参加型わいわい系だったので、2冊目はちょっと長めのストーリー。
ちょうど子どもたちも運動会の練習シーズンということで、おじいちゃんと運動会、両方が登場する本を選びました。
お父さんやおじいちゃんやお母さん、そして主人公が小学2年生、学校が舞台と子どもたちと共通点も多い話だったので、結構想像しながら聞いてもらえたのじゃないかなあと思う。
元気な男の子たちがわいわいツッコミを入れてくれるので、静かにストーリーを聞きたい子たちはちょっと気になったかもなあ。個人的には、無視されるより興味もってツッコミ入れてくれるのは断然、歓迎だけれども。
「ぼくのジィちゃん、かっこわるい」とか思っていたら実は……というどんでん返しの待っているストーリーなのですが、さすが子どもたちは、おじいちゃんが急遽リレーチームに入る手を挙げたあたりから「実はめっちゃ早いんじゃね?」と予想し始めていたり。
それでも、おじいちゃんが走り出した瞬間の1ページは圧倒的。
絵から伝わる迫力やスピード感に、予想をしていたはずの子どもたちも「え!すげっ!」と息を飲んでいた。
その2ページ先の、ハヤトくんのお父さんとのシーンも素晴らしい。教室の後ろまで、その臨場感が伝わると思う。
ゴールのシーンで、「(ジィちゃんのTシャツの胸の)ウサギも同じポーズしてる!」って言ってた子がいて、おもしろいところ見ているんだなあ!と思ったりした。
最後に1分だけ時間があったので、『えほんなぞなぞうた』(谷川俊太郎 文、あべ弘士 絵/童話屋)から1問だけ出題。
でも正解が出る前にチャイムがなってしまい、こちらから正解を言って終わりにするしかなかったので、ちょっともったいなかったな。1分しかないときは、無理におまけを入れずに終わったほうがよかったかも、とちょっと反省。
しかし総じて、わいわい盛り上がりながら元気に話を聞いてくれるクラスだった。ちゃんとこちらに興味を持ってくれて嬉しい反面、ストーリー系では一部、盛り上がりすぎると声が聞こえなくなってしまうので、なかなか難しさもあるなあ。
学年だけでなくクラスの個性もあるから、なかなか事前に想定しづらいところも多いのだけれど。でも総じて、楽しんでくれていたようでよかった。